株式会社エコウッド 取締役社長:石本康治

事業の背景

ものづくりの過程や解体の過程で副産物として出る廃プラスチックや廃木材。それらをいかにリサイクルするか。1997年から始まった北九州市のエコ タウン構想の中の、限りある資源再生の課題に取り組むための動き、一連の流れを受けて、株式会社エコウッドは2002年に創業を開始しました。当時はアメ リカなど海外で人工木材や合成木材の起業の動きがあり、国内でも大手の化学メーカーなどが進出し始めている分野でしたが、同社の目的はそのような新素材の 開発という感覚ではなく、あくまで資源の再生というリサイクルの理念を製品化することであり、その精神を貫きながら製品の開発と展開を独自に進めていきま す。

挑戦とK-RIPの有効活用

㈱エコウッドの看板商品である「エコMウッド」ですが、当初はマーケティングにおいて苦戦を強いられていました。石本社長は、ものづくりにおいて は、社会的な認知度の問題も大きいものがあると考えました。その対処として、不信感を払拭するため業界全体でJIS化などを進め、再生複合材のJIS規格 は2006年に発行され、同社は2008年に業界に先駆けてJIS認証を受けています。また、国土交通省NETIS、ISO9001の認証、エコマークの 認定、北九州市建設リサイクル資材の認定を受けるなど、信頼性向上のための努力を続けています。

K-RIPとの出会いは2008年、福岡合同庁舎で開催された「エコ塾」にて自社技術のプレゼンをしたことから始まりました。それがきっかけで同社はK-RIP会員企業となり、翌年2009年には「九州環境ビジネス大賞」に 応募し、「優秀賞」を受賞しています。この「九州環境ビジネス大賞」は、当該商品に信用力を付与することで販路拡大の一助とするとともに、当該製品のブラ ンドイメージの向上を図ることを目的とした表彰制度で、石本社長は、「私どもは不均質なものから均質なものをつくり、最終的にJISに合格する、顧客満足 を得られるものをつくる。そのことを審査員の先生方に評価していただいたので、この受賞は嬉しかったです。」と受賞の感想を述べられています。その後、「販路開拓プロジェクト」にも採択され、エコテクノ等の各種展示・商談会を通じて着実に販路を拡大しています。

また、K-RIPが発行した事例集にも掲載されており、この事例集を営業時に効果的に活用された結果、売上は4年間で2倍に成長し、利益も出るようになりました。

将来のヴィジョン

再生複合材の市場は、アメリカの300万トンという世界規模と比べると日本では2万トンしかなく、まだニッチな市場です。しかし、だからこそ中小 企業はチャンスがあると石本社長は語ります。実は、日本にはエクステリアで安定的に使える木質材料が存在しません。けれど、同社のエコMウッドはそれがで きます。特殊なニーズを持ったお客様が要求するデザインや性能に応える製品をつくる、又、お客様に対してメリットのある環境事業(新しい地産地消等)のご 提案が出来る、それが同社のセールスポイントになっています。

Topics

木材・プラスチック再生複合材「エコMウッド」を通じて様々な環境事業を展開する㈱エコウッドは、2011年10月、いち早くカーボンフットプリント(CFP)(※)に着目し、業界で初めてCFPマークの使用許諾を受けました。

<エコMウッドのCFP値を低く抑えるポイント>
①高リサイクル率・・・主原料である木材とプラスチックには、バージン材は使用せず、全て国内で発生するリサイクル材を使用します。
②ゴミを出さない・・・生産工程内で発生する端材・サンディング粉等は捨てずに、再度原材料として使用します。(再資源化)
(※)カーボンフットプリントとは?
カーボンフットプリントとは、直訳すると「炭素の足跡」です。「どこ」で「どれだけ」CO2が排出されたかを「見える化」したものです。原料調達から生産・流通・使用・廃棄までのライフサイクルの各工程で排出された「温室効果ガス」の総量を二酸化炭素(CO2)に換算して表示する制度です。製品の環境負荷を「見える化」することにより、消費者は「CO2排出量を考慮した製品」を選択しやすくなり、事業者側は「CO2排出量の多い工程」を把握することで効率的なCO2排出量の削減が可能となります。

企業名
株式会社エコウッド
代表者
取締役社長:石本康治
創業
2002年
資本金
3億円
住所
北九州市若松区響町1-12-1
主な事業
木材・プラスチック再生複合材の製造と販売